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2020年02月17日

言志耋録252条 上司と部下の関係

人君たる者は、宜しく下情に通ずべきは、固よりなり。人臣たる者も、また宜しく上情に通ずべし。則(しか)ざれば諫諍(かんそう)も的ならず。

【筆者意訳】人の上に立つ者は、常に部下の実情を把握しておくべきである。また、部下たる者も、上に立つ者の実情を理解しておく必要がある。そうでないと、上位者を諌める場合にも的外れになってしまう恐れがある。

【ひとこと】一斎は、当時の武家階級の、人君=城主、人臣=家来を念頭に置いて本条文を語ったものと推察しますが、私は現代に合わせて、人君=人の上に立つ者(上司でも可)、人臣=部下と解しました。そのように解釈すると、本条文の趣旨は現代でも十分通用するものとなります。

組織機能的に言えば、上司は指示命令を発する者、部下は指示命令に従う者となりますが、人間が組織を構成している以上、それだけの関係では上手くやっていけません。
上司は、実際に仕事をする部下の状況や苦労を理解し、部下が気持ちよく仕事ができるように配慮しなければなりません。反対に部下の立場からは、上司の状況や苦労も理解するように努め、気持ちよく指示が受けられるようにすることが大切です。つまり、相互に理解しあえる関係を造ることが大切で、そうすれば多少の無理や苦情も、率直に言えるし聴けるでしょう。それが好ましい上下関係だということですね。

『論語・子路篇』にも、「君たること難し、臣たること易からず。もし君たることの難きをを知らば、一言にして邦を興すにちかからずや。」という一節があります。”主君となることは難しく、臣下となることも容易ではない。もし貴方が主君としての有り方の難しさを理解し、その上で言葉を発するようにすれば、貴方の一言一言は臣下を奮い立たせるでしょう。そうすればたった一言でも邦を盛んにすることが出来るでしょう。”という意味になりますが、上に立つ者が下位者の苦労を察し、心を配って言葉を発することの大切さを語ったものです。
いつの時代でも、部下は自分を理解してくれる上司がいて熱心に働き、上司は自分を理解してくれる部下を重用するのです。


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