2020年03月06日

言志耋録334条 誠と敬を尽くす

人道は只だ是れ誠敬のみ。生きて既に生を全うし、死して乃ち死に安んずるは、敬よりして誠なるなり。生死は天来、順にして之を受くるは、誠よりして敬なるなり。

【筆者意訳】人の道とはただ「誠」と「敬」に尽きる。生きて生を全うし、死に安んじることができるのは、敬の道を究めて誠の道を得た生き方である。生死というものは天のみぞ知るもので、それをありのままに受け容れるのは、誠を尽くして敬を得た生き方である。

【ひとこと】「誠」とは自分自身に対しても、他人に対しても嘘偽りのない心のこと、「敬」とは、自分に対しては慎み深くし、他人に対しては敬うことです。

人の命は儚いものです。今日まで元気一杯で生きていても、明日が約束されている命は一つもありません。また死に方も選ぶことはできません。選ぶことが出来るのものは、死に臨む姿勢だけでしょう。
”自分は、どのような姿勢で死に臨めるだろうか?”と考えたことはありませんか?

ある臨床医が自身の著作で語っていた言葉があります。「人間は生きてきたままの姿で亡くなっていく。誠実に生きてきた人は誠実に亡くなっていく。我儘に生きてきた人は我儘に亡くなっていく」と。私はこの言葉に触れて、自分が死ぬときは我儘に死にたくはないと思いました。そしてそのためにはどうすればいいかを考えました。
結論は臨床医の観察している通り、我儘な生き方をしないということでした。それは自分に対しても他人に対しても誠実に生きる。自分を大切に思うと同じように他人を敬い大切にして生きるということ、即ち「誠」と「敬」を尽くすということだと思います。
欲はいくつになっても途絶えることはないでしょう。ですから死ぬ間際になっても、”あれをしたかった”という心は残ると思います。しかし”私は充分に、誠実に敬心をもって生きた”という満足感を抱いて旅立てるようにしたいと思うのです。


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