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2020年02月24日

言志耋録277条 やる気にさせてから

教えて之れを化するは、化及び難きなり。化して之れを教うるは、教え入り易きなり。

【筆者意訳】先ず教えて、それから感化しようとしても難しい。先に感化して、それから教えるのは易しい。

【ひとこと】一斎の教育者としての体験に裏打ちされた言葉だと推察します。より平易な意訳をすれば、”教えてから、やる気を出させるのは難しい。やる気を出させてから教えるのは易しい。”ということですね。

イギリスの諺に、「馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない」というのがあります。水を欲していない馬を、無理やり水辺に引っ張っていっても、馬は水を飲まないということです。逆に馬が水を欲すれば、放っておいても水を飲みに行くのです。
人間もこれと同じで、いくら親が”勉強しなさい”と言っても、やる気が起きなければ子供は勉強しない、または勉強する振りはしても頭には入らないものです。

ではどうすればいいのか?勉強したいという気持ちを、子供自身が持つように導くことです。
月刊誌『致知』の今月号に、奇跡の保育園と呼ばれている「小俣幼児生活団」の話が記載されていました。0歳から5歳までの幼児を預かり、子供の自発性を引き出す育児を行っているそうです。その内容は、例えば先生が子供に指示や命令をするのではなく、”○○してほしい”と、お願いする言葉を使う、先生が先に決めるのではなく子供に選択させるなどの工夫をして、子供の気付きや意志を引き出す育児をしているそうです。そこで大切なことは、きっかけを与えて待つことなのだといいます。

私はここに大きなヒントがあるように思います。幼児でも自分で気付き、”やりたい”という意志を持つのですから、より成長した人間は尚更でしょう。大人はそのきっかけを探り与えることが大事、そして待つことが大事なのです。それを待てないから”○○しなさい”という言葉を発するようになり、反発を買い、結果思いとは逆方向に進んでしまうのです。我慢比べも時には必要なのですね。


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